2022年に OSS 活動によって得た報酬を公開
2022年の sosukesuzuki 1人アドベントカレンダー 14 日目です。
この記事を書いているのは 12 月 17 日なのでもう 3 日分書いていないことになりますが、頑張って追いつきたいと思います。
筆者が 2022 年に OSS 活動によって得た報酬を公開します。
前提
筆者はUbie 株式会社のフルタイムのソフトウェアエンジニア兼大学生であり、余暇時間にいくつかの OSS に関わっています。
主に Prettier というコードフォーマッターのメンテナンスをしています。
目的
この記事の目的は、読者の誰かがお世話になっている OSS プロジェクトに対して寄付や貢献をするきっかけになることです。ぜひお願いします。
報酬
筆者が受け取っている OSS 活動による報酬には大きく分けて二種類あります。
一つ目は OSS プロジェクトの OpenCollective から分配された報酬です。Prettier の OpenCollective に集まった資金を毎月 $1500 もらっています。また最近は ESLint の Contributor Pool プログラムによって、ESLint の OpenCollective に集まった資金から報酬を受け取りました。ちなみに、OpenCollective では収支が公開されるので誰でもお金の動きを見ることができます。
二つ目は個人の GitHub Sponsors です。企業や個人が筆者個人に対して寄付してくれています。
実際の金額は以下の表の通りです。OpenCollective も GitHub Sponsors も米ドルだったものが自分の口座に入金されるタイミングで日本円に変換されています。
種類 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
Prettier の OpenCollective | 2,655,802 円 | 毎月 $1500 を受け取っている。2021 年の 11 月分と 12 月分の報酬は 2022 年 1 月に受け取ったので、それも含まれている。 |
ESLint の OpenCollective | 124,801 円 | Controbutor Pool プログラム による報酬 |
GitHub Sponsors | 2,118,748 円 | 毎月受け取っているものに加えて、Astro から $1000、トヨクモ から $12000 のワンタイム寄付を受け取った。 |
合計 | 4,899,351 円 |
Prettier は名前が知られている上にユーザーが直接使うソフトウェアなので、多くの寄付が集まったのだと思います。実際には Prettier 以上に重要でありながら知名度の低さなどから資金がほとんど集まらない OSS もあります。筆者が今年これほどの報酬を得られたのは運が良く恵まれていたと思います(来年はこんなに上手くいかないと思う)。
また、去年の年末から Prettier メンテナーたちの間で OpenCollective の資金の分配について検討し、実施できたのも良かったと思います。このあたりの話は Vjeux 氏が書いた https://prettier.io/blog/2022/01/06/prettier-begins-paying-maintainers.html で紹介されています
余談ですが、実はこの記事はもともと筆者(Sosuke Suzuki)が書きはじめたのですが、あまりに英語を書けないこともあって Vjeux 氏に書き直していただき、氏を auhtor として公開しました。
ちなみに、下記の Vjeux 氏のツイートで言及されているように Prettier のキャッシュフローはやや安定しているようです(一年経って $10,000 減ってる)。
At the beginning of this year we began paying @fisker and @__sosukesuzuki $1500 a month to maintain Prettier. After 11 months, I'm really happy to see that this has been sustainable financially and worked for the project as we've seen 3 new releases. https://t.co/P8BRBhXhwN pic.twitter.com/qW3StexFoc
— vjeux ✪ (@Vjeux) December 7, 2022
OSS 活動から報酬を得る意義
筆者にとって OSS 活動はただの趣味なので報酬が受け取れなくなっても継続するつもりでいます。
とはいえ OSS 活動から報酬が得られるようになっていると家庭内のキャッシュフローが安定し、OSS 活動に多くの時間が割けるようになります。
おそらくこれは筆者以外の OSS 開発者にとっても同じことだと思います。
ですので資金に余裕があり OSS から間接的にでも利益を得ている方は、OSS を維持管理している開発者に対しての寄付を検討してほしいと思います(寄付する前に寄付対象の OSS がどのように寄付金を使っているかを OpenCollective 等から調査しておくと良いと思います)。
最後に
2022 年の筆者の OSS 活動を支えてくださったすべての方々に感謝します。ありがとうございました。